砂漠は招くよ


9時半ころチェックアウト。今日はできれば砂漠の隣接するマーミドまで行きたい。実は前日もワルザザートへ向かうグランタクシーに乗ったときは、乗り合いタクシーを乗り継いでザゴラまでは、と思っていたのだが、急にスコーラに足が向いてしまったのだ。

ホテルを出て街を突っ切る幹線道路に出ると、運良くアガディール行きのバスをつかまえることができた。どこ始発かはわからないが、かなりのロングランナーだ。

10時半、ワルザザート着。うまくグランタクシーをつかまえることができれば、夕方までにはマーミドに着けるかもしれない。しかし、この目論見はすぐに崩れる。グランタクシーの客が全然集まらないのだ。結局、グランタクシーでの移動はあきらめて、12時半のバスでザゴラまで移動することにしたが、バスを待つ間、昨日の日本語ペラペラの彼にまた会った。毎日、日本人観光客が来るのを待って、自分の働くホテルに連れていくのかとも思うが、どうやら彼の第一の目的は日本人との会話のようだった。

バスはあちこちで客を降ろし、そして拾いまるで各駅停車の列車のごとくゆっくり進んでいく。道の左右には椰子の木に囲まれた趣のある集落をいくつも抜けながらザゴラに近づいて行った。

ザゴラに到着したのは17時半。最初考えたよりも随分遅い到着となってしまった。ここからマーミドまでは、仮にグランタクシーに乗れたとしても2時間はかかりそうだし、そもそも夕方になるとグランタクシーの数はぐんと減るから、さらなる移動はあっさりあきらめることにした。

バスターミナルは街外れに移動していたが、ちょっと歩けば昔の街に出られるであろうと思ったが甘かった。16年ぶりのザゴラは、以前とはまったく違う街になっていたのだ、以前はメインストリートは1キロくらいしかなく、そこから一歩はずれると、昔ながらの砂漠のオアシスの街という雰囲気があったのだが、何の変哲もない地方都市と化していた。

ドアラ川を渡ると椰子の木林もあり、趣がありそうなので、川の対岸をめざすことにしたが、暑さもあり歩くペースがあがらない。流しのタクシーなどはおらず、途中、砂漠ツアーの客引きが寄ってくるが、彼らに着いていけば、ツアーを組まないわけにはいかなくなる。

1時間あるいてようやく、ドアラ川の対岸に着いた。さて、どのホテルにすべきかと思っているとまた砂漠ツアーの客引きだ。あまりしつこいので名刺だけもらってふりきった。

投宿したのは、ホテル・シロッコという中級クラスのホテル。プールのある庭は椰子の木に囲まれており、ちょっとしたリゾートホテルという感じだが、そんなことはどうでもいい。まずは水だ。

冷えたミネラルウオーターを一本もらい、そこにポカリの粉末を入れて飲む。これほどうまい飲み物がどこにあろうか、という感じである。



部屋から見たホテルの庭。プールの手前側がレストランになっている。



レストランの客のおこぼれをねらう猫。


さて、明日はどうするか。依然、マーミドまで移動という選択肢は残っているが、猛烈にフェズへも行きたくなってきた。しかし、マーミドとフェズの両方へ行くと、日程が足りなくなる。スペインで2泊などどいう日程をくみ、それに合わせて航空券もとってあるから、モロッコでの日数を増やすことは難しい。考えがまとまらぬまま就寝。


翌朝、この日のうちにできるだけフェズに近づこうと思いながらチェックアウト。グランタクシー乗り場まで、プチタクシーに乗るつもりでいたが、タクシーがすぐにはつかまらず(ホテル街なのでときどきやってくるのだが)、ホテルを出てすぐのところにある昨日の旅行社の人間に声をかけられてしまう。

話をすると、ザゴラから往復2時間でティンフォーとかいう小さな砂丘に行ってこれるという。ここまで来て砂漠の切れ端も見ずに帰るのもいかがなものか、という考えが急に頭をもたげてきて、結局、4WDをチャーターして砂丘を往復することにした(料金は50ユーロ)。



本当に小さな砂丘だった。


砂丘を見たあと、グランタクシー乗り場まで運んでもらった。するとすぐにワルザザート行きのタクシーの客が集まり出発(11時ころ)。13時半、ワルザザート着。前日のバスの半分の所要時間だ。

ワルザザートでは30分の待ち時間で、ティネリール行きのグランタクシーが出発。16時20分ころ、ティネリールに着き、17時少し前、エルラシディア行きのグランタクシーが出発。この運転手が猛烈に飛ばす運転手で、18時10分にはエルラシディア到着。『歩き方』にはグランタクシーで2時間半とあるが、なんと1時間10分強で着いてしまった。時計を見間違ったか? これでこの日の移動は終了。フェズには1泊しかできないが、あの迷路を歩く時間だけは確保できそうだ。



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