開聞岳を見に行く(2025.04)
2025年4月初め、開聞岳を見に行ってきた。目的は開聞岳を見ることのみなので、天気が悪ければ旅費がまるまる無駄になる。ということで、天気予報を確認してから旅程を決めた。

幸い4月に入ると3月とは打って変わって飛行機に空席が目立ってくるので、座席の確保は容易。問題は直前だと航空券が高いということだが、なぜか新宿の金券ショップでは航空会社の株主割引券が値崩れを起こしているような状態でかなり安く手に入り(都内でも場所によって株主割引券の価格が異なるようだ)、それをある程度の量確保しているので、それを利用。


早朝便で新千歳を出発して羽田で乗り継ぎ、12時ころ鹿児島に到着。空港で腹ごしらえをしてから、13時発の指宿行きのバスに乗車。



鹿児島空港到着少し前に撮った写真。わかりにくいが、海岸線と直角で交わる形の滑走路が見える(宮崎空港)。海に着く出る形の低い山のようなところの手前の小さな島は青島。




鹿児島空港着陸直前に撮った写真。中央やや左に見える山は桜島。




鹿児島空港から指宿へ向かうバスから望んだ錦江湾と桜島。



14時40分ころ指宿駅前に到着。目指す場所は番所鼻(ばんどころばな)自然公園(「番所」は「ばんしょ」と読むのが普通だと思うが、鹿児島、というか現地では「ばんどころ」と読むとのこと)。便数が少ないながらも番所鼻にはバスでのアクセスが可能で、帰りは指宿枕崎線の列車で宿泊地鹿児島まで移動することができる。しかし、バス、鉄道ともに待ち時間が長く、時間の無駄が大きいので、レンタカーの利用という考えが少しだけ頭をよぎった。ただ、そうすると行くことが出来る範囲が広がり欲張ってスタンプラリーみたいになってしまう恐れがあるので、結局、公共の交通機関のみで行くことにした。

指宿で1時間10分ほど待って、15時50分発の東大川行のバス(始発地はなのはな館という公共施設)に乗車。このバスは観光客の利用はほとんど想定されていない地元の人のためのバスのようで、番所鼻最寄りの停留所名も「岡村」。観光地である番所鼻の「ば」の字もついていないし、車内放送でも「番所鼻へお越しのお客様はこちらで降りられると便利です」というような案内は一切なかった。実際、乗客のうち観光客は自分だけだった。



指宿駅。




指宿駅前から乗った東大川行きのバスから見た開聞岳。



16時50分ころ岡村に到着。そこから番所鼻自然公園までは800mほどの距離。



岡村のバス停(バスを降りて少し歩いてから振り返って撮影)。




海岸に近づいて行くなかで畝に黒いビニールシートをかぶせた農地が現れ、開聞岳とそのビニールシートの眺めが面白かったので1枚。




番所鼻は、日本全国の海岸線を正確に測量して、19世紀前半に『大日本輿地全図』という地図を作成した伊能忠敬が(この地図の完成は伊能の死後)、ここを訪れた際に、その風景を絶賛した場所である。写真は伊能忠敬が絶賛したことを示す碑(1956年に建てられた)と開聞岳。




番所鼻には「海の池」と呼ばれる海水のたまる円形の池のようなものがある(干潮時、海が荒れていなければ池の回りを一周できる)。「海の池」は火山活動とその後の浸食作用によって形成されたもので、このあたりにはこうした形のものがいくつかあるらしい。







番所鼻の西方を望む。







薄っすらとだが遠くに島が見える。




一つ上の写真の島の部分を拡大してみた。地図を見てみると硫黄島という島であることがわかった。二つの島に見えるがグーグルアースを見てみると一つの島だとわかる。




少し西の方へ歩いて行くとこのような砂浜があった。




番所鼻自然公園を出る前にもう一度伊能の碑文近くから開聞岳を眺めた。



番所鼻には1時間くらい滞在したが、一つ当てが外れたことがあった。

公園の入口にはいせえび荘という宿があり、そこに併設されているカフェのテラスで開聞岳を眺めながら食事をとるつもりだった。しかし、17時45分ころだったか、カフェに行ってみると客どころか店員すらいない。外に張り出してある表示を見るとカフェの営業は10時半から15時まで(土日は16時まで)で、誰もいないのも当たり前である。宿にもレストランはあるのだが、予約が必要であり、番所鼻では夕食が摂れないことがわかった。完全な下調べ不足だった。もちろん近辺に食事を提供する店などない。しかし、幸い何かあった時のためのお守り代わりにカロリーメイト1箱をデイパックの中にしのばせてあったので、開聞岳と海を眺めながらペットボトルの水を飲みながらそれをかじってこの日の夕食とした。



番所鼻最寄りのJRの駅である水成川駅。わずかだが、開聞岳の美しい姿が見える。ベンチくらいはあるだろうと思って来てみると何もなし。番所鼻まで戻れば座るところがあるのだが、面倒なのでここで立ったまま40分くらい時間をつぶし、19時10分発の山川行きに乗った。この列車は山川からすぐに鹿児島中央行きに接続しており、21時10分同駅到着。さすがにやや空腹なので、コンビニでヨーグルトとバナナを買ってから予約してあるホテルにチェックインした。




翌朝、朝食を買い出しに行く道すがら桜並木があったのでちょっとだけ寄ってみた。鹿児島の開花は随分早かったが、なかなか満開にはならなかったようだ(温暖化のため桜の花芽の形成、休眠、休眠打破、生長、開花、満開というサイクルに狂いが生じている?)。遠目に見ると花が若干スカスカだったので、もう散っているのかと思って近づいて地面を見ると花びらはほどんど見当たらず、まだ、満開にはなっていないようだった。もしかしたら、満開の状態にならぬうちに散ったのかもしれない。



開聞岳を見たので後は帰るだけである。鹿児島空港までは鹿児島中央駅前から空港バスに乗ってしまうのが手っ取り早いのだが、本数は少ないものの、加治木駅前を通り鹿児島空港へ行くちょうどよい時刻のローカルバスがある(始発地は楠田車庫前というところ)。加治木まで鉄道で移動すれば桜島を眺めなが行くことができるので、日豊本線で加治木まで移動して、そこからそのバスに乗ることにした。



錦江湾沿いを進む日豊本線の列車から桜島を望む。なお、鹿児島中央駅から乗った列車はロングシートというか座席が窓を背に横並びで、おまけにヘッドレストまであって車窓が見えにくいものだった。しかし早目にホームに着いていて運よく車両に端にあるクロスシートの席を確保することができたので、座ったまま桜島を眺めることができた。




しばらく進むと桜島の見え方が変化していった。桜島は複合火山といって二つの火山が並んで形成されているとのことで、鹿児島市内からだと二つの山が合体した幅の広い部分を正面から眺めるかたちになり、姶良市(あいらし)に入ると横から見るかたちになり、富士山型の山に見える。




加治木駅(姶良市)。




加治木駅前から桜島を望む。



加治木駅前から乗ったバスの空港までの乗客は自分をいれて3人だったか? ただ、加治木駅前に来るまでにイオンタウンや国立病院などを経由しており、そちらの利用者がこの路線の乗客の中心なのかもしれない。

ところで、バスから眺める街中は人通りもすくなくひっそりとしていたが、かじき饅頭の店の前に行列ができていた。調べてみると姶良市の名物らしく、バスから見えた店は有名店らしい。

終わり。