カルス、アニ遺跡
カルスはトルコ東部、アルメニアとの国境近くにある町で、19世紀にはオスマン帝国とロシアとの間で争奪戦が行われロシアの支配下にあったこともあり、ロシア時代の建築物も残っている。ここへは2012年8月に訪れたが、その目的はカルスの東南45kmのところにあるアニ遺跡の見学。アニ遺跡は10世紀後半にバグラトゥニ朝アルメニアの都とされた都市で、アルメニア東方教会総主教も移されて宗教上の中心地ともなった。最盛期には人口が10万を超え、1001の教会をもつ町と言われていた。11世紀半ばにはセルジュク朝の、さらにセルジュク朝に属するシャッダード朝クルド王国の、12世紀末にはグルジアの支配下に入るなどの歴史をたどった。

なお、トルコとアルメニアとの関係が悪く、遺跡の横を流れる川の向こうがアルメニアという場所にあるアニ遺跡内では写真撮影が不可だったので目的地の候補から外していたのだが、久しぶりでチェックしてみると写真撮影が許されるようになっていたので出かけることにした。



カルス。町の高台にセルジュク朝期につくられたカルス城が見える。




カルスの観光案内所。




フェティエ・ジャミイ。モスクとしては違和感を感じる建物だが、それもそのはずで、これは19世紀、ロシア占領下にあった時代に建てられた教会で1923年にトルコ領となったあとジャミイとなりミナレットつくられた。




アニ遺跡。当時アニ遺跡へ行く公共交通機関がなかったのでタクシーをチャーターして行った。いつもそうなのだが、早く遺跡の主要部分へと気がせいて、遺跡の入口部分の写真を撮っていない。これは遺跡の入口にある城門(だと思う)から遺跡内を撮ったもの。奥に見える建物は大聖堂(だと思う)。




荒涼とした大地のなかに教会の遺構が点在する。(季節によっては草が生えていて緑が広がっているようだ)




紀元前1世紀から紀元4世紀の間にペルシャによって建てられたゾロアスター教の拝火神殿の跡とされる場所。










大聖堂。反対側の壁の方が保存状態がよいのだが、なぜか写真を撮っていない。画面の奥の方はアルメニアで、かすかに監視塔のようなものが見える。




大聖堂越しに教会?(修道院?)の遺構を眺める。




大聖堂。




アブガミルの聖グリゴル教会(980年建造)。谷(川が流れている)の向こうはアルメニア。




一つ上の写真に写っている修復中の教会と国境を流れる川。




マヌーチェフル・ジャミイ(モスク)。セルジュク朝に属するシャッダード朝クルド王国が支配していた時代の1072年に建てられたトルコに現存する最古のモスク。




ジャミイから国境を流れる川を眺める。対岸はアルメニア。




これもジャミイから眺めた景色(のはず)。




一つ上の写真と逆の方向。



アニ遺跡では、最も有名と思われる教会(ティグラン・ホネンツ聖グリゴル教会-比較的保存状態がよく川の向こうにアルメニアが眺められる)を見落としたようだ。



夕方、カルス城のある丘の途中まで登ってみた。写真は坂の途中にある教会(モスクとして使用されているらしい)とカルスの街。