タンジェ港の出国審査でトラブル発生

<8日目>
フェズの朝はすがすがしい晴れだった。暑さはあまり感じず、駅までの歩きは気持ちのよいものだった。



フェズで泊ったホテル。中級のホテルだが、プールがあった。プールの奥の壁のデザインが”モロッコ”だ。




フェズの新市街。南欧のどこかの街か?という感じ。奥に見える変わった形の屋根の建物を見るとそうでもないか、という感じだが。




南欧のどこかかと一瞬思ってしまうような新市街だったが、モスクのミナレットでここがイスラム圏であることを再確認させられる。



乗車予定の列車は10時50分発のマラケシュ行き。途中、シディ・カセムというところで乗り換えて、16時前にはタンジェに到着する予定。もっと早い列車もあるのだが、例によってガッツを出して早起きをするというモードではない。タンジェに16時に到着できれば、夏の遅い夕暮れ時にはスペインにたどりつけるだろうし、それで十分だ。

16時すぎタンジェ到着(少し遅れたか?)。タンジェの鉄道駅は、以前は港のすぐそばにあったのだが、現在は随分離れた場所に変わってしまった。06~07版の『地球の歩き方』には、市街中心から南東に6キロとあり、とても徒歩圏内ではない。というわけで、駅を出るとタクシーをつかまえようとしたが、全然つかまらない。「ならば、バスだ」と思い、少し歩くと、すぐに海岸に出た。海岸に出ると、遠くにl客船の並ぶ埠頭が見えた。どうも歩けそうだ。『歩き方』の情報は古い情報で、少し港に近いところまで鉄道が伸びたのか?



マラケシュ駅(だと思う)。







タンジェ・ヴィル駅。




駅から少し歩いたところにあるタンジェのビーチ。この横をずっと歩いて行った。海風が心地よく、意外と暑さは感じなかった。



ビーチの横を歩くこと20分(もう少しかかったか?)、16時45分ころ港に到着するとすぐにイミグレへ。列もそれほど長くはなく、すぐに出国審査の順番がまわってきた。しかし、17時台のフェリーに乗れそうだと思った瞬間、問題が発生。イミグレの係官が出国スタンプを押せないと言い出した。それで「ポリスへ行け」の一点張り。「何故だ?」と聞いても、まったく埒があかない。いろいろと乗客の面倒を見てくれていた、港の係官のおじさんにポリスへ行けと言われたということを伝えると、すぐにことの次第を了解したようで、ポリスの場所を教えてくれる。ただ、なぜそういうことになっているのかは、聞けなかった。とにかくポリスに行けば何が問題なのかわかるだろう。

一度イミグレの外へ出てポリスへ行くと、「スペインのビザがない」と言われる。イミグレもそういう理由で出国許可を拒否したのか? 「日本人はビザなしでスペインに入国できるんです」と説明するが、なかなかすんなりOKがでない。(記憶が不確かだが、別の部署に電話をしたりしながらようやく放免されたが、別に何か書類をくれることもなかった)

イミグレのところへ行くと例のおじさんが、「おお戻ってきたか」という感じでニコニコと寄ってきて、チップを要求してきた。さすがモロッコだ。しかし憎めない感じのおじさんだったし、実際、彼には助けられたので、もちろんチップを渡す。ポケットから使い残しのコインを出して、そこから20ディラハムを渡すと、笑顔で手の上のコイン全部くれという。まったくちゃっかりしている。しかし、ディラハムのコインを持っていても仕方がないので、結局全部渡して、出国審査を済ませたが、今度はまったく問題なしだった。いったいどういうことだったのか。後から知ったことだが、空路モロッコに入国して海路(陸路)出国しようとすると、そこで止められるというトラブルが続出していたそう(よく理解できないが)。

18時50分発のフェリーでアフリカ大陸から離れ、モロッコ時間の21時20分、スペインのアルヘシラスに到着。スペイン時間では22時20分。かなり遅くなってしまった、というか遅くなりすぎだ。
ホテルはあるのか?



タンジェ港を出港。







何の変哲もない海に沈む夕日だけれど、”ジブラルタル海峡に沈む夕日”というと一気に趣が増す。



港の近くにホテルがたくさん固まってある地域があり、割と簡単に部屋が確保できるかもと思ったが、何軒かあたったところ「満室です」という答えがかえって来るばかり。ランクをあげると見つかりそうな感じもあったが、安そうなところにもう少し当たってみようと思って行ったホテルでは、またしても満室だったが別のホテルを紹介してくれた。

紹介されたホテルへ行くと1部屋だけ空き部屋があった。ホテルのおじさんが「部屋を見るか」というので、見せてもらう。部屋にトイレが付いているのだが、広いトイレにベッドが置いてあるという感じの部屋。つまりトイレが別室になっておらず、部屋の一角に便器があるという、まるで独房のような作りの部屋だった。そういうつくりのせいもあって、部屋全体がトイレ臭い。1泊だけとはいえ、さすが遠慮したい。ということで、また、部屋探しのため街へ出た。

次に行ったホテルでも部屋があいていた。ファン、シャワー、トイレ付だが、トイレ・シャワールームと部屋の間に仕切りはあるものの、天井の部分はあいていて、完全な別室にはなっていない。結局、この時間であいているのはこういう部屋だけなのか? まあ、さっきの部屋よりましだということでチェックイン。一泊22ユーロ。

しかし、22ユーロというのは、ホテルの料金の高いヨーロッパとしては格安だった。