ブラジル入国、レシフェからナタルへ

<6月17日>
8時20分、定刻通りレシフェ到着。入国審査はスムーズに済み、税関はノーチェックで通過。白タクの客引きが言い寄ってくることもなく、とりあえず100ユーロを両替して、定額の空港タクシーで予約してあるボア・ビアジェン地区にあるホテルへ向かった(当初はレシフェの近にあって古い町並みの残るオリンダにホテルをとっていたが、翌朝の空港への移動、観戦チケットのピックアップの便を考えて、この旅の出発間際に変更した)。



午前中の早い時間帯だったが、部屋に入ることができた。通された部屋は居間と寝室が分かれた部屋だった。この部屋で日本円で7000円弱。軒並みワールドカップ価格のブラジルにあって、少々くたびれた感じのホテルではあるが、こんな値段で、こんな部屋に泊れるとはビックリだが、直前にキャンセルが出たからなのかもしれない。




部屋からの眺め。レシフェはビーチリゾートとして有名らしい。が、なぜかビーチには人がいない。ワールドカップの試合の狭間で客がいないのか? それともこの日は夕方からブラジルの試合があったからか? しかし、ブラジルの試合は夕方で、この写真を撮ったは午前中なので、そうではないと思うが。



さて、マドリードから合計で18時間余りのフライトで疲れきっていたが、まずはワールドカップの観戦チケットを受け取りに行かねばならない。レシフェにおける発券所は、ショッピング・レシフェというショッピングセンターに設けられていた。チケット発行の際の混雑を見越して、FIFAのサイトで優先的にチケットを受け取ることのできる時間帯を指定できるようになっていて、僕は12時~13時の時間帯を指定していた。しかし、おそらく、もうチケット発券の混雑はないだろうと思い、10時半ころ、タクシーでショッピング・レシフェに向かった。

ショッピング・レシフェは広大なショッピング・センターだったが、タクシーの運転手が付き添ってくれて、ショッピングセンターの人に尋ねてくれたお蔭で、迷わずチケット発券所に到着。着いてみると、予想通りまったく混雑はしておらず、というか、誰も並んでおらず、あっさり発券終了。

ホテルからショッピング・レシフェがかなり離れており、また、ショッピング・レシフェでのタクシーの待機時間(実際には運転手がチケット発見所まで案内してくれた)もあったため、往復で3000円強もかかってしまった。チケットは日本に郵送してもらうことも可能で、こちらは40ドル(約4000円)だったので、若干安くあがったのだが。



観戦チケット(右)とオフィシャル・チケット・ガイド。チケットには名前が印字されているが、そこを隠して撮影しています。



ホテルに戻り、昼食をとった後、この後、どうするか考えた。当初泊る予定だったオリンダまでタクシーを飛ばして観光してくるか。しかし、16時からブラジルの試合があり、午後には街は人通りがなくなるだろう。そういう状況ではただでさえ治安の悪いブラジル。治安の悪さに拍車がかかる恐れがある。それに、考えてみると、見られる眺めはポルトガルの町並みに似た町並みである。ポルトガル風の町並みに、ポルトガル語以外の看板とかが並んでいると珍しいが、ポルトガル風の町並みにポルトガル語の看板とかなのだ。よく考えるとあまり新鮮な眺めではない。加えて、治安の悪さのため、路地裏探訪はできないときている。さらに、昼食後、猛烈な睡魔が襲ってきた。ということで、オリンダ観光という選択肢はあっさりと捨て去り、部屋でブラジル-メキシコ戦を見ることにした(結局は眠くてほとんど見られなかったが)。



<6月18日>
8時少し前にチェックアウトして、タクシーで空港へ向かった。(実はブラジル入国地点をレシフェに決めたときは、レシフェからナタルへの移動はバスで、と考えていた。しかし、バスのチケットは現地購入しか方法がなく、便数も限られており、チケット購入失敗というリスクを恐れて、結局飛行機での移動を選択した。わずか45分の飛行時間にもかかわらず、日本円で5万以上とワールドカップ価格だった。

チェックインを済ませた後、すぐにタム航空のカウンターへ行った。実は、今回は出発間際になって旅程に色々と変更を加えた。一番大きな変更はブラジル滞在を削ってペルーへ行くことにしたこと。それでブラジル国内線のチケットの払い戻しをしなければならないのだが、タム航空のウェブが不親切きわまりなく、払い戻し手続きのためのページがないのである。ウェブを色々と見ていくと、払い戻しに関する記述はあり、メールで搭乗者の名前とクレジットカードナンバーを知らせろとしかない。しかし、メールでクレジットカードのナンバーを知らせるのは不安だ。ということで、日本にいるうちに払い戻し手続きをするのはあきらめ、ブラジルのタム航空の窓口で直接払い戻しの手続きをしようということにして出発した。(ちなみに、ワールドカップの組み合わせが決まった直後からブラジルの国内線の安い席はすぐに埋まってしまったため、僕の購入したチケットは比較的制限の少ない高いチケットで、出発前日?まで払い戻し可で、かつ払い戻し率も7割というものだった。

さて、タム航空のカウンターに行って払い戻しについて尋ねてみると、ウェブで購入したチケットはウェブでしか払い戻しの手続きができないというではないか。カウンターの女性が言うには、ウェブに払い戻しのページがあるというのだが、自分がきちんと見つけられなかっただけかもしれないと思い、ナタル到着後に、タム航空のページにアクセスしてみることにした。



ワールドカップ仕様になっていたタム航空の座席のヘッドカバー。



9時45分発、ナタル行きの便は定刻で出発。レシフェでの日本チームの試合からすでに3日がすぎており、かなりの日本人が第2戦が行われる地であるナタルに移動した後ではと思っていたが、けっこう多くの日本人が乗ってきた。

10時半、定刻通りナタル到着。到着口には、日本領事館員らがいて、ナタルでの注意事項や緊急連絡先などについて記したパンフレット、観光地図などを配布していた。

空港からナタル市内への足はタクシーしかなかく、料金前払い制のタクシーで移動(75レアル)。



正面の建物がナタルで宿泊したホテル。設備は古びており、安いビジネスホテルという感じだが、宿泊料金はワールドカップ価格で、何と1泊日本円で18000円くらい。スタジアムまで徒歩で行けるという絶好のロケーションなので、料金の高さはいたし方ないか。




部屋のセーフティボックス。




ホテルのレストランからスタジアム方向を望む(試合の翌朝撮影)。白い丸みのある屋根がスタジアム。



レシフェのホテルでも少し感じたことだが、ナタルのホテルでブラジル人の親切さ、フレンドリーさを強く感じた。ちょっとしたことでも笑顔で丁寧に対応してくれるのだが、肩肘張ったサービスではなく、仲のよい友人に接するような雰囲気なのだ。ホテルのスタッフばかりではない。タクシーの運ちゃんも基本的にフレンドリーだし、ショッピングセンターの警備員も、商店の店員も。治安の心配さえなければ最高なのだが。

さて、ナタルの近郊にはポンタ・ネグラというビーチリゾートがあり、砂丘が綺麗らしいが、観光よりもチケットの払い戻し手続きだ。

タム航空のホームページの確認をしてみたが(もちろんポルトガルはわからないので英語のページにアクセスした)、やはり、払い戻しのためのページはなく、メールで払い戻しの手続きをしなければならなかった。ただ、日本で見たページとは違い、払い戻しについて少し詳しく記されており、航空券に関する詳細、それから払い戻しの理由を書いてメールを送ればよいとあった。クレジットカードの番号については、銀行振り込みなどで購入し、カードの口座に払い戻し金の入金を希望する場合に必要ということらしかった。ということで、必要事項を書いてメールを送信した。非常に不安だが、これしか手がないので仕方がない(タム航空からメールの返信はなく、その後、ウェブで自分の予約を確認しようとすると、不完全な表示となり「予約の変更がなされたため」と記されていた。これは払い戻し手続きが行われているためではないかと思ったが、確認する術はなし。しかし、帰国後カードの利用履歴を確認するとちゃんと払い戻されていた。)

さて、この日はこの旅行中の数少ない2連泊の1日目ということで洗濯デイとし、洗濯後は部屋でワールドカップの試合観戦。



ホテルのレストラン。朝・昼・晩ともにビュッフェスタイルだった。




ナタルのホテルのレストランでの食事(ちょっと食べてから写真を撮ったので手前の部分が減っています)。このホテルのレストランは近くの工事現場の人たちなども食べに来る庶民的なもので、ビュッフェ方式・ジュース付で料金は10レアル=約500円。料理は日替わり(昼と夜とでも内容が変わる)でけっこういけた。それからさすがにコーヒーの国だけあってポットに入ったコーヒーと小さな紙コップが用意されており、客は食後にその甘~いコーヒーを一杯すすって出て行った。旅に出てから野菜や食物繊維が不足していたので、毎回、煮豆や野菜の入った料理を多めにとった。




<6月19日>
いよいよ、日本戦の観戦日である。しかし、あいにく朝から強めの雨。試合前にちょっと観光でも、と思っていたが、この天気では海岸に行っても全然綺麗ではない。それより、もっと大きな問題は観戦中の雨対策だ。ナタルは雨が少ないことで有名な場所で、観戦中の雨対策はすっかり忘れていた。荷物をなるべく軽くということに集中していたので、ビニールのカッパをバックパックに入れておくなどということは、まったく思いつかなかった。ということで、ホテルのスタッフに相談して(英語は通じないので、googleの翻訳のページを使って、ポルトガル語と英語でコミュニケーション)、ゴミ袋をもらった(頭と両腕を通すことができる穴をあけて使用するといいよと教えられた)。ただ。ホテルのスタッフによると、ナタルでは夜に午後から晴れることが多いとのこと。

昼前、晴れ間が出てきた。ここまでブラジル観光はゼロである。これはどこかに出かけるしかない。ということで、ヘイス・マーゴス要塞へ行くことにした。この要塞は、1598年にポルトガル人によって築かれ、ナタル発展の基礎になったということである。なお、ナタル空港で領事館員からもらったパンフレットには、要塞のあたりではスリや引ったくりに注意とある。危なくない所はないのか? という感じである。

要塞へはタクシーで向かったが、その少し手前にある、ワールドカップのファンフェスタ会場の前までしか行けなかった。ファンフェスタ会場についても、上記のパンフレットには「ファンフェスタは出入り自由なのでスリ・引ったくりに注意」とある。とにかくしつこいくらいの注意喚起である。まあ、ワールドカップのため、普段、あまり海外旅行をしない層が旅していることが想定されるので、ここまで徹底しなければならないということなのだろうが、治安の悪さに関する情報は今までの渡航先で1~2を争うものであったのも確かである。

とりあえず、ファンフェスタの会場の横を通りぬけ、要塞へ向かった。

要塞へ向かう道に入っていく手前に砂浜があり、そこでブラジリアンたちが遊んでいた。そのなかの若い女性たちが僕の方に向かって声をかけて手を振ってきた。まさか自分に振っているわけではないだろう。自分の後ろに誰かがいて、その人(もしくは人たち)に向かって振っているのではと思い、振り返って確認すると、その女性たちは大笑い。自分を指さして、僕に向かって手を振った?というジェスチャーをすると、「そうだ」というリアクション。ブラジル人、明るい。

ちょうど、そのころ日本で流れていた清涼飲料水(のコマーシャルで、女性に手を振られて自分だと思っていると、自分の後ろに手を振った相手がいたというコメディー調のものがあったので、それとリンクして妙に記憶に残っている。

その後、土産物屋が並んでいるところを通り抜けると、細い道の両側はちょっとした林で見通しが悪く人通りもなくなった。警官もいない。まずいではないか。なるほど、引ったくりに出くわしてもおかしくはない状況だ。ただ、見通しの悪い道はすぐに終わり、要塞に向かう歩道に出た。ここは要塞にいる観光客からも良く見える場所で、物取りとかは出にくい環境である。



売店の店先にて。




要塞を背にして撮影。




要塞へ向かう通路。白い建物が要塞だが、写真に撮っても面白くも何ともない(笑)。




要塞からナタルの街の方を望む。右の白とか青とかオレンジとかが見える部分がファンフェスタ会場。




要塞からの帰り道。遠くに見えるのが要塞。はっきり言って観光地としてはたいしたことはない。



さて、ファンフェスタの会場だが、外からも雰囲気がわかり、寄っていくほどのものでもないだろうと判断してホテルへ戻った(実は入場するにはペットボトルの飲料を放棄しなければならなかったので、それを惜しんだのもあるのだが-何か完全に節約旅行者の思考経路だ)。



ファンフェスタ会場。



ホテルまで乗ったタクシーの運転手は若い男性だった。「イングリッシュ?」というので、イエスと言ってうなずくと、スマホに何か入力し始めた。運転しながらやるので危ないことこの上ない。何をやっているのかと思っていると、入力完了後、少し間を置いて、画面を僕の方に向けてきた。どうやら、翻訳のページにアクセスしてポルトガル語を英語に訳したようだ。画面には英語で「ファンフェスタにはまだ人がいたか?」とある。う~む「実はファンフェスタ会場には入っていないのだよ」といいたいところだが、会話形式が英語表示の質問にイエスかノーで答えるという感じなので、ちょっと困った。ということで、さきほど自分の前にファンフェスタ会場に入っていく客を見かけており、沢山いるかどうかは別にして、いることはいるだろうから、自信のなさげに「イエス」と答えておく。彼は僕の情報をもとに、また、ファンフェスタ会場に戻り客を拾うつもりなのだろうから、責任は重大である。

スマホでの質問は、日本の初戦後、マスコミに報道されて話題になったらしい、日本人サポーターのゴミ拾いに移った。「日本人はいつも試合後にスタジアムのゴミを拾うのか?」 これもちょっと答えに窮した。日本人サポーターが自分たちの陣取った場所を綺麗にしてスタジアムを去ったことはネットで確認してはいたが、それは日本人の行為というより、Jリーグのサポーターの習慣というか文化のようなものだからだ。日本人皆が公共心にあふれていて、常にそういう行動をとるわけではないので、はっきりとイエスとは言えなかった。Jリーグの試合でも、一見さんなどのなかには、紙コップやパンフレットの類、コンビニのレジ袋などにいれた紙くずをけっこう座席のところに置きっぱなしにして帰る人が多い。それを常連さん(サポーターといってよいと思う)が、拾って(場合によっては持参のゴミ袋に入れ)、スタンドの出口のゴミ入れに入れたり、ゴミを集めている場所に持っていったりするのは普通に行われ入る行為である。Jリーグの試合の運営はボランティアスタッフに負う部分が大きく、彼らボランティアスタッフの負担を減らすという意味合いもあってか、気がついたサポーターがそうしたゴミ拾いをするのだ。ワールドカップにおける日本人サポーターのゴミ拾いという行為も普段の習慣通りの行動といえると思う。ということで、その行動をした彼らにとってはいつもの行為だと思うので、少し間を置いてから、「イエス」と答えておいた。

運転手の質問は、さらに日本の経済に及んだが、そうこうしているうちにホテルに到着した。