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TPP協定はかなりまずいものだということ

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旅を中心とするブログのつもりですが、今日はTPP協定についてです。お付き合いいただけるとありがたいです。

正直なところ、TPP協定については貿易を活発化させることを目的としたものというイメージしかなく、これによって、海外の農産物の関税が引き下げられれば、もしくは撤廃されれば、日本の農産物は価格面で輸入品に対抗できなくなり、日本の農業が大きな打撃を受けることは間違いないというくらいの認識しかありませんでした。

そして、マスコミの報道の中心もこの農業問題で、このことが重要なのは間違いないのですが、TPP協定が日本の医療に与える影響も重大で是非考えなくてはならないと思います。

TPP協定によって、日本の国民皆保険制度を撤廃するといった直接的な影響はなさそう感じもしますが(安心はできないかも)、万が一協定が発効してしまうと「非関税障壁」をめぐる攻防で大変なことになってしまうかもしれないのです。

協定には「透明性及び腐敗行為の防止章」というのがあって、その透明性に関する部分には「締約国は、本協定の対象となる事項に関する法令、手続及び一般に適用される行政上の決定を、利害関係者及び利害を有する締約国が知ることのできるような方法により速やかに公表し、又は入手可能なものとすることを確保すること、可能な限り、とろうとする措置を事前に公表し、並びに利害関係者及び他の締約国に対して当該措置の案に関する意見提出のための合理的な機会を与えることを等を規定」とあります。

「透明性」を確保するというのは聞こえのよい言葉ですが、上記を見ると「利害関係者(つまり製品を売り込みたい企業)」をその取引その他色々な仕組みの決定プロセスに参加させるという意味で、これを例えば、日本における薬価(薬の値段)の決定にあてはめると次のようになります。

アメリカの製薬会社が自社の開発した薬を日本で高い価格で売りたい、しかし、日本では薬の値段は厚生労働省の諮問機関である中央社会保険医療審議会(中医協)で議論され、最終的には厚労大臣が決めることになっていますから、思うような価格では売れない。そこで、上記「透明性」の章の規定を利用して薬価決定過程に介入する。そうして薬価が高騰していく。

では、薬価が高騰するとどういうことが起こり得るか。

薬価の高騰は、ただでさえ厳しいことになっている保険財政を圧迫することは明らかです。

保険財政がより厳しくなると、①医療機関に支払われる診療報酬が削減される、②国民の保険料負担が増やされる、③患者の自己負担が増やされ(現在基本的には3割)、最悪高価な薬は保険適用を除外するなんてこともあり得るでしょう。

①によって、医療機関が十分な収入を確保できなくなり経営が悪化してつぶれるなどということも起こりえますし、儲け主義に走らなければやっていけなくなるなんていうことにもなりかねません。結果として大多数の患者に悪影響を及ぼすのは明らかでしょう。

②③は当然、国民にとって大きな負担増となるわけですが、③みたいなことになるのを、アメリカの保険業界が狙っているという見方もあるようです。つまり、日本には優れた国民皆保険制度があるので医療保険はあまり売れない、しかし、医療により多くのお金がかかるようになれば医療保険の販売にとってプラスというわけです。

以上、医療(そのうち薬価)の問題を例にTPP協定が及ぼすかもしれない影響について考えてみましたが、この医療の問題以外にも遺伝子組み換え食品など食の安全に関する問題など、考えなければいけない問題はたくさんあるようです。「まあ、いっか」で済ませられない問題だと感じています。TPPの承認案と関連法案の成立は何とか阻止しなくては。

最後に今回問題意識を持つきっけかとなった、昨秋放送された、朝日放送の「正義のみかた」(TPPの大筋合意で日本の医療制度が崩壊する!?)の動画 を紹介しておきます。最悪、ここまで行っちゃうという内容です。

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