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参議院議員選挙の結果を見て思ったこと

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参院選最終日・投票日は大阪、一端東京に戻った後、週の半ばには広島、そしてその後札幌、そして週末に東京に戻るという状況で、あまりまとまった時間がとれず、参院選の結果に関する自分なりの所感をまとめる暇がなく何も書かずにいたのだけれど、やはり放ったらかしはよくないと思い、以下に書き留めておきたいと思う(自分のための記録という意味も込めて)。

「誰がやっても同じ」「投票したってあまり変わらない」選挙に行くことについて消極的な人たちは、よくそんなことを言う。確かにあまり変化がないことが予想されるような時期もあったかもしれない。しかし、今現在はそういう状況ではないといえるだろう。それは憲法改正が実現性を帯びてきたからだ。そんな状況にもかかわらず、今回の選挙の投票率は54%余りという低さ。どうも国民の少なくはない部分に憲法改正の動きに関する認識がなかったようだ。野党は改憲勢力に「3分の2」を取らせないという目標をかがげて選挙戦を展開したが、「3分の2」が何を意味するのかわからない国民も相当いたらしい。わからないことは仕方がない。問題は、選挙戦に関するテレビ報道が少なすぎて、わかるようになる機会が十分与えられなかったことだと思う。(活字媒体による情報はより積極的にそれに触れようとする人以外には伝わりにくい)

テレビで「3分の2」問題がまったく報道されなかったわけではない。しかし、少なすぎで、たまたまピンポイントでそのニュースなどを見ていた人にしか伝わらなかった。主要なニュースで毎日、党首の街頭演説について報じたり、その演説の中身に関して解説したりすれば、選挙の争点を知り、選挙に対する関心を高める有権者が増えていくはずだが、残念ながら今回の選挙ではそうはならなかった。

選挙報道の少なさを示す一例をあげておきたい。実は東京選挙区の小川候補の街宣のボランティアで出かけていたので見れていないのだけれど、NHKの7時のニュース(ニュースセブンというのか?)、ニュースウォッチナインでは、何と選挙戦最終盤の木曜・金曜に選挙に関する具体的な報道がなかったそうだ。これでは選挙に対して受け身の姿勢で臨んでいるだろう大多数の有権者の関心が高まるわけがない。(関心が高まっては困るという政権与党の考えを忖度して選挙報道はアリバイ的なものしか行わなかったと疑われても仕方がない)

周知のとおり、選挙の結果、改憲勢力はギリギリだが参議員の3分の2を超える議席を占めた。衆議院ではすでに3分の2を超えているので、憲法改正の発議を行おうと思えば行える状況になった。自民党の改憲草案のまま改憲の発議が行われるかどうかはわからないが。

そこで自民党の改憲草案の大きな問題点についてもう一度確認しておきたいと思う。
1.自衛隊を国防軍に変え、フルに集団的自衛権を行使できるようにする(同盟国の戦争に加担できるようになる)
2.公益・公の秩序を理由に人権に制約が課すことが可能になる(例えば政権に都合の悪い報道、住民運動、デモなどに規制がかかる)
3.緊急事態条項を規定。ごくごく大雑把にいうと、首相が緊急事態を宣言すれば憲法を停止できるというもの。緊急事態の期間の延長については国会の承認が必要ということにはなっているが、首相は国会の多数派を背景に選出されており、政府と国会の意思は基本的には同じなので、緊急事態が際限なく続く可能性もある。

憲法改正のためには、最後国民投票というものがあるので、国会の発議がなされてもそう簡単には通らないだろうとたかをくくっている人たちがいるかもしれない。しかし、現状のメディアの状況を考えると正確かつ分量的に十分な情報が国民にもたらされるかどうか非常にこころもとない。また、ネット上にあふれる変な情報も恐ろしい。

国民投票では有効投票の過半数を獲得すると可決されるので、「何だかわけがわからんから棄権」という人が増えてしまい、過半数のハードルが下がってしまう可能性もある。

さらに国民投票が国政選挙と同時に実施される可能性もあり、そうなると改憲勢力に関する報道量が多くなる(主要候補の報道の量は同じだけ行われるが、現状与党議員の数が圧倒的に多いので改憲派の関する報道が多くなってしまう)。

とにかく色々な問題があり、国民投票に持ち込まれてしまった場合、何が起こるかわからないのだ。そういうわけで、今回の選挙では1人区で野党側がかなり頑張ったものの、憲法の問題という観点からはかなり危機的な状況に陥ってしまったことは否めないと思う。


「どこに投票してもあまり変わらないよね」と言っている人たちの多くも、おそらく自分たちの人権に制限が加えられる可能性が高まる恐れがあるのだということを知れば「それはまずい」と思うだろうが、それをどうやって伝えていくのか。大きな課題だと思う。

ところで、今回の選挙の結果、残業代ゼロ法案が通る可能性が高まった。一応給与の高い層に適用するということになっているが、企業側の論理で動いている現政権だ。だんだんと残業代ゼロが適用される給与も引き下げられていく可能性が高い。今までだってサービス残業をしていたからあまり変わらないと考える人がいるかもしれないが、今度は残業代ゼロが法的にOKになるので、ヒドイことになる可能性がある。

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