12月の初めに健康保険証という名称のものが廃止された際(同じ機能を持つ資格確認書なるものが発行されている)、今後の健康保険制度について盛んに報道された。マイナ保険証を持っていなくても資格確認書によって今まで通り医療機関にかかることができるということは報道されるのだが、高額療養費の扱いについて報道したニュースなどは見ることがなかった(全てを見ればあったのかもしれないが)。
報道の内容はおおむね政府が流している情報に沿ったものと思われるが、今の政府が国民に流す情報は信用できないので、ちょっと調べてみた。
次のものは札幌市のホームページの国民健康保険に関するページにある高額療養費に関する記述である。
「1か月(同じ診療月)の間で、医療機関に支払った自己負担額(保険診療外の費用や入院中の食事代等を除く)が一定の額を超えた場合、申請によりその超えた額が払い戻されます。この一定の額を「自己負担限度額」といいます。」
「マイナ保険証による受付ができる医療機関・薬局では、マイナ保険証または資格確認書(下線は筆者が加えました)を提示することで、事前の手続きなく、同一医療機関・薬局に支払う自己負担額(保険診療外の費用や食事代等を除く)が自己負担限度額までとなります(資格確認書を提示する場合は、本人同意が必要です)。」
この間の報道で目にしたり聞いた内容とちょっと異なるというか、報道より詳しい内容があることがわかる。下線を加えた部分である。報道では、高額の療養費がかかる場合、マイナ保険証の利用者は事前の手続きなしに(限度適用認定証なるものの取得して医療機関に提出)自己負担限度額までの支払いですむと、あたかもそのメリットを享受できるのはマイナ保険証利用者だけと勘違いさせるような伝え方ばかりだったような気がする。
しかし、資格確認書利用者も同じ扱いを受けることができるるのだ(同じ保険料を納めているのだから当たり前と言えば当たり前なのだが)。ちなみに、札幌市のホームページの記述は国民健康保険に関するもので、各健康保険組合などではどういう扱いになっているかは調べていません(もし国保と異なる扱いならばそれはそれで大きな問題だと思うが)。
ちなみに上記にある「マイナ保険証による受付ができる医療機関・薬局では」というのは、いわゆるオンラインで資格確認ができるようになっている医療機関・薬局ということで、一応オンライン化は義務付けられてはいるが、機器の導入が遅れているところもあり(補助金はでるようだが、医療機関などにとっては余計な出費)、そういったところでは、上述の限度適用認定証なるものを事前に取得して医療機関などに提出する必要がある。
また、資格確認書の利用者について「本人の同意が必要です」とあるが、限度額は所得などにより異なるので、限度額がいくらなのかについて照会してよいという同意と思われる(なぜもう少し詳しく書かないのか?)。プライバシーを掘り起こされるように感じるかもしれないが、限度額は役所が把握しており(国保の場合)何の問題もない(マイナ保険証の場合すでにそういう情報と紐づけられている)。「同意」の詳細を記さず、ちょっと嫌な感じと思わせてマイナ保険証へ誘導しようという意地悪さを感じてしまう(考えすぎか?)。
しかし、すべての医療機関などとそれをとりまとめる機関がオンラインでつながれば、マイナンバーカードなるプラスティックのカードなどなくても、受診歴・薬の処方歴・療養費の限度額などの照会は可能なのに、なぜ政府はマイナンバーカードを使わせたがるのか?
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