母は何でも保存しておく人で、その中に高校の同窓会の際に作られた印刷物があった。
その中に男女共学が開始された際のことを当時の教員が回顧して記した文章があり、とても興味深いものだったので記しておくことにした。
「男女共学の開始~対面式の異常な興奮~
当時、○○には○○高等学校のほかに○○女子高等学校があった。...昭和二十五年四月七日は男女高等学校が一つに統合され、対面式を行った日である。場所は現在の古びた体育館。生徒はどんな気持ちだったのだろうか。画期的な新しいスタートなのである。
まず男子生徒が講壇に向かって山手側半分に位置を占めた。それから女子生徒が恐る恐るという様子で入場して来た。男子の此処彼処から拍手やら、獣の吠え声とも思われる歓迎の叫び声が起こった。女子は一層縮み上がったようにみえた。これから男子と女子が向かい合って挨拶を交わすのである。指揮をしたのは○□先生。向かい合うための号令は「右左向け、おい」である。やがて先生の力強い号令はかけられた。そしてお互い向かいあった。その時、隊列はぐらぐらと崩れてしまった。女子はその場から動かなかったけれど、男子はずるずると後ずさりしてしまった。ほんとに後ずさりしたのは女子ではなく男子生徒であった。先ほど獣のような吠え声をあげた男子の姿であった。
あの時の光景を僕は忘れることができない。教室でも男子が女子に乱暴を働くということはなかった。女子は悠々とし、伸び伸びと暮らしており、むしろ時には元気のいい男子にも指令しているものもいた。このようにして共学は出発したのである。」
※1947年3月、6・3・3・4制の新学制を定めた学校教育法が制定され、旧制度による中学校と高等女学校は1948年から高等学校と女子高等学校に移行(母が住んでいた北海道の地方都市ではそうだが、全国が皆同じスケジュールだったのかは調べていないのでわからない)。そして1950年に高等学校(男子高)と女子高等学校が合併した(全国で同じスケジュールで実施されたのかは調べていないのでわからない。また、共学が実施されず男子高、女子高が続いた場所もある)。
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